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「給与DXのエムザス」 給与とシステム両方を本業に約20年

社長とれんど考察

「チャーム >専門性」

2015年12月1日

■リーダーに必要なもの
以前、NHKのEテレで放送されている『先人たちの底力 知恵泉』で、「中世のチャーミング男、幕府をつくったリーダー足利尊氏」という番組がありました。幕府や天皇との激しい戦いを制し、新しい組織を立ち上げた尊氏ですが、何度も再起不能と思われるほどの惨敗を経験するものの、敵方の兵士が尊氏側に寝返ることはあっても、なぜか家臣たちは裏切らなかったということで、尊氏の魅力を探るという興味深いものでしたが、その時のゲスト、オリックスの宮内 義彦さんは、リーダーに必要なのは「チャーム」と「専門性」だとおっしゃられていました。「専門性」は経営の専門知識で、「チャーム」は、人間的魅力、つまり人徳です。

■器量と度量
易経の専門家、竹村亞希子さんの著書には、リーダーには器量と度量が必要であるとし、「器量は、高い地位に相応しい才覚と対処能力をいい、度量は、自分のことを良く言う者だけでなく、悪く批判する者に対しても同じように受け容れる能力をいいます。陰陽に分けるとすれば、器量は陽の力で、度量は陰の力になる。現代では能力や実績主義になり、会社組織のリーダーは器量型が多いといわれる。もちろん器量は大切である。しかし、リーダーの真価が問われるのは、人の能力を活かし、人を育てる度量である。リーダーは、度量という陰の力を育てることを忘れてはならない。」と、度量の方がより重要であると言われています。

■器量だけ見ている危険性
知識、情報、専門性や器量は測ることができます。学歴や経歴、資格など分かりやすいものです。一方でチャーム、度量、人徳などの人間的魅力は測ることができません。昔も測ることはできなかったと思いますが、身分制度があったので、武士は人格を磨かねばならないというように一応の目安はありました。しかし、現代日本においては、器量の部分しか見えないので、人間的魅力を高める必要性は無視されていますので、普通の人には感じることはあっても見えていません。だから、東大卒や弁護士などの高い学・経歴や資格があると信用してしまい、残念ながら、時には痛い目に遭ってしまうのです。

■リーダーには結果責任がある
ところで、リーダーには人間的魅力が求められるのは何故でしょうか。リーダーは結果に責任を持つ必要があるからです。言い方を変えると、多くの人々に幸せをもたらすことを”結果として実現できるかということです。努力したけどできませんでしたではいけないのです。また、いかに多くの人々に協力してもらえるかとも言えます。人は「権威」、「知識や情報」についてくることもありますが、決め手は「好きか嫌いか」だと思います。好かれるか、嫌われるかは、厳(優)しいか、甘いかとは違います。本当に多くの人々のことを思っているかの度合いで決まるのだと思います。

■やりたいことを優先した結果
多くの人々のことを思うと言っても、独りよがりな思い込みではいけません。リーダーには見識が必要です。万人を幸せに導くのが仕事となる政治家は特に厳しく求められます。最近はようやく普通の政治状況になりましたが、ここ数年は迷走してしまいました。友愛総理、某県知事、某党党首・・・、そして仲間たち。学歴も経歴も立派なのでしょうが、残念ながら見識がありません。できもしないことを掲げ、民の感情を煽って期待を抱かせ当選はしたものの、振り上げた拳の落としどころが見えず、結果として民を不幸にしました。またしようとしています。私たちも甘さと優しさの違いに気づき、正しい選択をできるようになりたいものです。

■歴史は繰り返す
古代ギリシアの歴史家トゥキディデスは、人間とは何か、歴史とは何かを追求し、歴史書である『戦史』を著しました。その中で、「今後も、人間性の赴くところ、異なる情況の中でも相似た事件が起こるであろう」と言いました。まさに普遍的真理でしょう。「歴史は繰り返さない」のも真実であると同時に、いくら物が進化したとしても、人間が人間である限りは、「歴史は繰り返す」のもまた真実でしょう。歴史を学ぶとは、まさに人間を学ぶことであり、政治家はもちろん、経営者や管理者などのリーダーは責任の重さを痛感し、先人が苦労を乗り越えてきた知恵を学び、スキルアップも大切ではありますが、もっともっとチャーミングにならないといけません。