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「給与DXのエムザス」 給与とシステム両方を本業に約20年

社長とれんど考察

「大きな調和 > 小さな衝突」

2018年11月1日

■大愚和尚の一問一答
仕事上の悩み相談に対し、大愚元勝和尚が処方箋を出し、解決へのヒントをくれるという番組を見て考察するということを、勤務先の管理職研修でやっています。先月見たのは、三十前の女性からの相談で、「以前に勤めていた会社に復帰したいのだが、どのようにすればいいかアドバイスが欲しい」というものでした。和尚は、相談者が前の会社を辞めたのは「自分の意見が通らなくなったから」だと指摘したうえで、復帰したとしても会社は前とは中身が変わっているから、自分の考え方を変える必要性を説き、「小さな衝突より大きく調和すること」で、成功が見えてくるとアドバイスしました。この「小さな衝突より大きな調和」が気に入ったので色々考えることにしました。

■平和へのメッセージ
カフェを営む著作家の影山知明さんは、平和へのメッセージとして、笑顔や明るい未来を祈り・願いつつ、「(価値観・考え方・生活習慣などが)違っても折り合いつけながらやっていくすべを身につける」ことを提起されています。世界では、今でも紛争が続いている国や地域がありますが、国内においても人々の不寛容さが様々なトラブルにつながることも日々起きています。影山さんは、簡単ではないけど、仲良くなる必要はないけど、何とか折り合っていくのが平和なのではないかとして、「人はみんな違うのだ」と認めることの重要性を説きます。平和へのメッセージは「小さな衝突より大きな調和」とともに、世界から職場や家庭まで共通する処方箋なのだと感じます。

■転職するにも
最近は、人手不足感が高まっており、さらに価値観の変化もあり、転職することが一般的になってきました。勤務先においても、中途採用を行なっていますが、先の和尚への相談事のように、勤め先の変化を転職理由として挙げる方が増えているように感じます。そこからさらに深く話を聞いてみると、二つに分かれてきて、一方はやりたいことをやれる環境へ変わるきっかけとして捉えている方々、他方は他責的な考えで、方針を変えた会社への恨み辛みがどんどん出てくるような方々です。そもそも会社が変化することを是としないのは人情的には理解するものの、合理性は乏しくならざるを得ません。なぜなら環境適応こそ生物の根源的テーマだからです。

■職場の中でも
職場に渦巻くハラスメント問題の解決にも「小さな衝突より大きな調和」や「平和へのメッセージ」は有用です。ハラスメントとはいじめのことですが、している方はされている方に自分と同じことを求めており、そうならない現実に苛立ち、感情的となり、それがエスカレートして暴力的な行動や言動を引き起こしています。影山さんは、「余裕なくしているときに違いを許せなくなる」とその本質を突きます。時には、けんかやぶつかりあうことはやむをえないが、人格否定になってはいけない、存在自体を憎んではいけないのです。仲良くなる必要はないけれど、何とか折り合っていくことは必要です。それこそが調和や平和であり、顧客価値創出への源泉になるのです。

■政治の世界でも
政治家でも「小さな衝突より大きな調和」は難しいテーマのようです。安倍政権は憲政史上最長の内閣になりそうですが、これに貢献しているもののひとつとして「野党の分裂」が挙げられています。直近では前政権の旧民主党の分裂がありました。「小さな衝突」にこだわり、「大きな調和」ができずにバラバラになってしまったように感じます。それぞれの主張や人間性があるので、言い分は分かるのですが、部分最適は全体最適にならずの様相は続きそうです。長期政権はメリットも多いですが、野党が言うように問題が多いのであれば、大きく調和するという戦術は必須でしょうけど、残念ながらそういう芸当ができるのは自民党だけなのかも知れません。

■ダイバーシティは言葉から
影山知明さんは「言葉を武器としてではなく楽器として使い合おう」とも言われています。人間は自分と違う考え方を感情的に嫌ってしまいますが、暴言やヘイトスピーチ、強制したり、無理やり説得しようとしたり、騙したり、傷つけたりと、言葉を武器として使ってしまいます。言葉の使い方を武器ではなく、楽器として使うと、やさしい気持ちにしたり、癒したり、励ましたりできるかもしれないし、いい言葉をつかうと互いに暴力的になることはないので、対話に向き合う気持ちも変わるのではないかと。これは簡単ではないでしょうけど、企業で求められているダイバーシティを本気でやりたいのであれば、とても参考になる考え方だと思います。

■長く続く組織の秘訣
今に続いている五十五年体制は約60年程ですが、もっと続いている組織体として、宗教団体が挙げられます。数百年間から数千年間まで、時代の荒波にもまれながら、数々の危機を掻い潜ってきた集団だといえます。現代企業に置き換えると、激変する外部環境に臨機応変に対応し、時代のニーズにマッチした商品やサービスを出し続け、顧客や社会に受け容れられている会社です。変わり続けて続いている組織は、小さな衝突には過度にこだわらず、大きな調和を目指し、平和な状態を実現できるパワーがあるはずです。それを土台として支えるのは、法や教えであり、今流に言えば経営理念でありますが、さらにその根底に調和や平和への強い願いがあるものと思われます。