「謙虚 > 高慢」
2021年6月1日
■ずっと成長できる人
昨年から続くコロナループの真っただ中の今年の春、私事ではありますが、社会人35年目を迎えました。定年の年齢が間近に迫ってきたと衝撃を受ける年齢になったこと、七十歳までの雇用努力義務化がなされたこと、新聞辞令で自分と同年齢の方が上場会社の社長に就任していること、などなど自らのキャリア形成を考えさせられることがとても多くなってきたと感じております。そして、命ある限り、そして命尽きた後のことも考えておく必要がある立場にあると強く自覚しているところです。今回は、どんな仕事しようと、どんな立場に立とうと、ずっと成長できる人になるためにはどうすればいいのかを様々な例をもとに考察することにしました。
■G社編
カーファムの一角を占めるG社はどう見ているのでしょうか。人事担当の役員の方が書いた黄色い本によりますと、この会社の求める人材要件の一つに「謙虚さ」があります。このような先進的な会社が求める人材とは、知識や技能の面で優秀でパフォーマンス能力の高い人であるかと思いきや、謙虚な人だったとは意外でした。謙虚な人を採用することにより、すぐに逆切れすることなどなく、批判を素直に受けとめ、先人の成功や失敗からヒントを得て、日々確実にステップアップしていく使える人材が生まれていくとのことです。これってずっと成長できる人のことです。こういう事例を知ると、世間で言うような欧米との差はあまりなく、グローバルスタンダードなのですね。
■スポーツ界編
コロナループ渦中となってから、テレビよりもユーチューブを見る機会が増えました。野球やプロレスなどの昔話ネタを拝見していますと、今だから言えるという感じの話題が面白いです。ドラフト一位など鳴り物入りでプロに入ったのに、一度も一軍に上がれないまま引退してしまった選手の話しには共通項が多いと感じます。それは謙虚さのなさ、つまり高慢さです。成人する前に甲子園に出てチヤホヤされると勘違いしてしまうものです。そのままプロに入っても直らず、直さず、素材として評価されていることを忘れてしまうと活躍の場を得ることができません。ずっと成長できるスポーツ選手は謙虚に自分を高めようとする人であるのはほぼ間違いありません。
■芸能界編
芸能界でもやはり同じでした。ずっとテレビで見る歌手や俳優、タレントさんとは、「使いやすい人」だと聞いたことがあります。これは何でも言うことを聞くという単純なものではなく、謙虚に自分のスキルをあげようと努力している人のようです。もちろん例外は多々あるでしょうが、多くの場合は当てはまっているのです。ユーチューブでは、消えた芸能人の追跡みたいな番組もよくあるのですが、人それぞれ事情は違うものの、謙虚さと協調性の少なさというのは共通しているように感じます。芸能界なんて一般人からは遠い別世界においても、私のような普通の人たちと同じ人間組織を形成しているんだなぁとしみじみと感じてしまいました。
■大企業編
こちらも個人的には縁の少ない世界ですが、コロナループ前からも黒字リストラとして希望退職というマイルドな人減らしを手掛けていました。それがコロナショックにより加速している模様です。まるで潜水艦のように静かにリストラは進んでいるのです。もちろん大企業は資金力が高いので割増退職金などと引き換えに退職を希望する人を募っています。業績が悪いという一時的措置のみならず、この動きはもう年中行事になっています。ターゲットにされるのは、元成績優秀選手を中心とする中高年の正社員です。成績優秀だっただけにプライドが高いことがその理由のようです。こんな光景を見ていると、出世街道は途中から先が大変なことを実感してしまいます。
■小企業編
大企業のように新卒社員がどんどん入ってくるわけでもなく新陳代謝が行われない中小企業の場合はどうでしょうか。平常時は世間のことに気が付かなかったとしてもさほど問題にはなりませんが、井の中の蛙という言葉があるように、ちょっとした変化が起こると大変です。それまで怠けていたことが白日の下に晒されてしまいます。幹部ともなると、特段努力しなくても下に抜かれることもないので顕著になります。小企業も事業を継続していくためには、ずっと成長できる人を増やす必要がありますので、謙虚さや協調性を高いレベルで持つことは重要です。小企業でも自分を変えるべきことを他のせいにして消化しようとするとしんどくなることに変わりありません。
■超長距離走
ずっと成長できる人になるということは、ずっと活躍できる人であり、ずっと選ばれる人であることです。G社役員氏は、使える人材とは自分の意見をしっかり持っている人であり、他人にアドバイスされた時にも「あなたの意見の方が、この問題をスムーズに解決できるね」と認められる謙虚さがカギになると話しています。しかもこの資質は一定期間だけ持っていればいいものではなく、ずっと持ち続けなければ意味がないということです。若年時は許される部分はあるにせよ、年齢やポジションが高くなるにつれ、周りの人々の要求も高まるものです。年齢に関係なく、常に周りの方々に選んでもらえる「ずっと成長できる人」になりたいとつくづく思います。